福島県郡山市の(株)み・らいとコンサルティング(登記、境界確定、測量) 株式会社みらいとコンサルティング
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人知を集めた総合法務事務所

以前、取材を受けたときの記事を掲載いたします。

県職員から一念発起で独立を

取材
幼いころはどんな少年だったのですか?
降矢
星が好きで山が好きな少年でしたね。天文学や詩の世界にも興味を持つようなロマンチストな面もありました。

そして地図を見るのが何よりも好きでした。いまの仕事を選択する大きな要因でしたね。

高校卒業後、福島県に入庁したのですが、初任者研修では同僚がみんな優秀に見えたものです。

奥手な私は仕事をどう要領よくマスターすればいいのか分からず、半年もしないうちにブルーな気分になってしまったのを覚えています。

幼いころから母や祖母に「自分を信じるんだよ」「自分に負けるなよ」「頑張れよ」といい聞かされていましたが、何せ田舎育ちだったので外の世界を知らなかった。

そんな幼児体験がコンプレックスとして影響していたのかも知れません。

しかも周囲には法学部や経済学部の出身者がたくさんいたことも関係していたでしょうね。

「負けられない」と思い、上司の勧めもあって、後に中央大学法学部の通信教育を受け卒業したのですが、幼いころの祖母や母の教育のお陰だと思っています。

最初の職場は郡山市の合同庁舎で、目と鼻の先に裁判所がありました。

18歳の私はそこへ足を運んで競売物件の鑑定調書を見るのが趣味でした。

当時、競売物件は1カ月に1回ずつ更新されており、調書の中に所有権や占有権、法廷地上権といった法律用語や行政法規が出てきました。

取引事例法や収益還元法など、様々手法をこらして評価するわけです。その土地や建物をめぐる行政法規や法律に非常に興味を持ったんです。

なぜこの土地や建物が調書のような数字に算定されていくのか。
実際に現場でその不動産を見つけると「あぁなるほど、この土地が2000万円か」と。

それが面白くて・・・。当時は鑑定士という資格も知らなかったが、俄然、興味がわいてきた。

いまの仕事を専門にするきっかけがこれでしたね。

取材
県を辞め、独立しようと思ったきっかけは?
降矢
郡山・福島市の両県税事務所11年間のうち5年間は家屋評価事務を、また、法人事業税や誘致企業の税制優遇措置などにも携わりました。

こうした県での仕事に従事する間、様々な経営者500人あまりとの出会いがありました。

特に印象に残っているのは、政経誌の新年号のトップページに掲載されていた商事会社の社長の言葉でした。

「あと10年若ければと悔いないために、今この時に命を」

とのフレーズに心を揺り動かされ、この瞬間に温室育ちだった私が目覚めたのです。

こういう若手経営者が、地域を担っているのだなと、身震いするような興奮を覚えたのをいまでも思い起こします。

そのフレーズはいまも胸に秘めています。

一方では宅建主任者試験、土地家屋調査士、行政書士、測量士などの資格試験を受験したのですが、幸運にもすべて1回でクリア。この小さな成功体験が、いままでダメだと思っていた自分を奮い立たせた。

そして目に見えない何かに後押しされるように、必要必然に迫られる形でいまの仕事に就きました。

県の行政は多岐に渡るため、行政面だけではカバーしきれない部分も多かった。

周りに期待を寄せて頂けるのであれば、専門職として、自分の命をかけて、行政のカバー出来ない部分に挑戦してみようじゃないか、と。

人知を集めた総合法務事務所を

取材
会社を立ち上げてからはいかがでしたか?
降矢
独立したら急に「先生」と呼ばれることになりました。
でも本来、先生家業ではない。

待っていれば仕事が来た時代から、いかにお客さまの期待価値以上のものを提供するかが問われる時代ですから、そのことが毎日の課題です。

どうすればお客さまの役に立つかと考えました。

そして各種国家資格のある専門家集団の横の連携を強めることで、土地建物調査や境界測量、農地法、登記などの一連の業務をワンストップでお客さまに提供したいという私の思いを実現するためには、1人では限界がある。

だから自分のDNAを受け継いでくれる社員が必要だと。
しかし、社員はなかなか定着しなかった。

当時、カメラのフィルムのCMで「100年経っても色あせないプリント」というフレーズがありましたが、私も100年間の歴史の風化に耐えられるような成果をお客さまに提供したい。

そのためには自分1人では出来ない。私が思っている理念を実現してくれる社員の賛成はどうしても必要だと思ったのです。

会計事務所にも測量会社にも、資格者が複数いる。
なのに、なぜ調査士や行政書士はみんな単独の形態なのか。創業当時はそれが不思議だった。

資格を保持していることそのものよりも、生かすことに価値があるのではないか。
近い将来、知的技術者集団として仕事をする時代が来るだろうと、思ったんです。

だからそれを実現するメンバーが欲しかった。それが県内では第1号となった行政書士法人化「あなたの街の行政書士法人」立ち上げの動機にもなりました。

取材
参考にした事務所などはあったのですか?
降矢
大阪のある大手調査事務所を訪ねたことがありました。

これが測量事務所としてのいまの自分の大きな基盤になったのです。
その事務所は調査士の先生と司法書士、職員が70人体制でそのスケールに非常に刺激を受けました。

また、新潟県のある事務所との出合いも大きかったですね。
ここは弁護士以外のすべての有資格者を抱えているような総合的事務所でした。

私はこの事務所のミニチュア版のような事務所を作れたらどんなにいいだろうと・・・。

ちょうどそのころ、規制改革の1つとして士業にも法人化が解禁になった。

弁護士法人の業務範囲が隣接業種を取り込むことになれば、法人化された巨大な総合事務所が出来上がる。

事実、首都圏では弁護士100人体制というような巨大組織がどんどん出来た。

その巨大組織が、組織力を発揮して地方進出ということになれば、地域密着であるはずの本来の業務が根底からおかしくなってしまう。

そこで、私は地方の小さな一事務所に過ぎないけれど、勿来の関と白河の関でなんとか歯止めをかけようと思ったのです。

そのためには地域から信頼されるワンストップサービスの事務所が地元になければと。
危機感を感じ、考えれば考えるほど眠れぬ夜を過ごしました。

地元に必要なのは地域事情を把握して地域に密着した総合事務所が必要なんです。

だから各種国家資格を持つ有資格者集団としての地元の総合法律経済事務所が必要だと思いました。

この想いが土地建物調査に始まり、境界測量、農地法、登記など一連の業務をトータルで取り扱う当社の現在の体制、ワンストップサービスの礎となったのです。

取材
行政OBによる生活相談センターも準備段階ですね?
降矢
行政書士として登記されている方の中には、たくさんの行政OBがおります。知的財産を後世に伝えることも大切な役割ではないか。

ならば、そういった方たちの活躍の場が必要ではないか。第一、優秀な人材をそのまま眠らせておくのは非常にもったいない。
だから、少しでも社会に貢献し還元できる窓口を設けられればというのが、組織化の狙いです。行政書士登録をして第一線で頑張りたい人にとっても社会貢献活動として誰かの相談に乗ってあげられる組織があれば、退職後の人生も、また地域社会も豊かになるでしょう。

社員と切磋琢磨する経営者に

取材
社員教育についてはどうですか?
降矢
私自身がいろんな研修で多くの方との出会いを通して、人間的に成長するきっかけを得られました。

まだまだ未熟ですが、経営者としても人間としても考え方が変わりました。自分にないものは書物などから得るしかない。

子供のころは何かとコンプレックスを抱えていた私でしたが、そういう自分から脱却するきっかけを得ることも出来た。

だから社員の教育のために時間もお金もたくさん使います。創業当時は1人ですから極論いえばわがままも通ります。

しかし、自分の想いを社員に伝えようと思ったら、技術者としての勉強はもちろんのこと、経営や心理学、リーダーシップなど様々なスキルを身に付けなければいけない。これが出来なければ、経営者である資格はないわけです。

最初のころは、「俺も頑張るからついて来いよ」と熱く語っても、振り返ると社員がはるかかなたの後ろにいる。

どうして人は自分についてこないのだ。それが何故なのか、自問自答し考えた結論は、一所懸命教えても、教わる社員が「やらされている」という感覚だったのではと。

自分から興味を持たないと勉強しませんね。そういうことがあって社員がなかなか定着せず、苦しかった。

この状況を脱却するためにはまず自分自身の勉強が必要だということで、いろんな研修を受けるなど経営者としての勉強を重ねた。

いまでもまだまだ勉強不足ですから、毎日が精進の日々です。

また、社員研修を続け、自分の理念を何度も繰り返し社員に伝えてきました。社長の頑張っている姿に社員もディベートされ、逆に社員の一所懸命な姿に私が励まされる。

私と社員とが切磋琢磨するような「意欲的焦燥感」を感じる関係でありたいと考えています。

私は私と出会ったすべての人に幸せになって欲しい。社員も同じです。
生き生きと仕事をして欲しいし、輝いていて欲しい。社員をそういう状態にしてあげたいと考えています。

自分の存在によって、周りの方が「あなたに出会えてよかった」と思える関係を築きたい。

せっかくのご縁で一所に仕事をしている。お互いに生かし、生かされているような感じでしょうか。実際には難しいですが。

そのためには、私のことをフルに使ってくれ、と社員にいっています。

人材格差が企業格差につながるわけですから、この部分には力を入れてきたいですね。

取材
今後、取り組んでいくプランは?
降矢
調査士法人の設立も視野に入れています。
またNPO法人の相続遺言センターも設立する予定です。相続の争いが解決するように相談に乗ってあげることが出来ればいいなと思います。

理想をいえば、県内60市町村すべてに相談員が在駐しているような状況を作りたいのです。
相談会といえばいままではどうしても敷居が高かった。

だからこそ、もっと一般の市民の方が気軽に相談に訪れることが出来るような場を提供していきたいのです。

人類が文化を築き発展したのは火の発見と、言葉の発見。文字も発明した。人間は死んで朽ち果ててしまうと物質的に残るものは約70キログラム相当の肉体だけです。

一生懸命に残した財産もいつかはなくなるが、形が変わってしまう。
でも、脈々と次代に引継ぎ出来る唯一のものがあるとすれば、それは文化や伝統、教育、あるいはノウハウなどではないでしょうか。これらは目に見えないし手に取ることも出来ない。

重さもないけれど、本当に残るのはそういうものではないだろうかと考えるのです。

私は、会社も同じだと思うんです。いままでは行政書士、司法書士、調査士・・・と単独でそれぞれ事務所をやってきたけれど、その人の体の限界、仕事の限界、クライアントに対するフォローの限界もある。

だから金銭を超えた価値観の世界で結ばれた組織体でなければいけない。
相乗効果は1+1が3にもなり得ますから。

お客さまの権利の明確化に付与すること、付加価値を創造することが私の使命。
この想いが実現したら本当の意味でお客さまに生かし生かされる経営になるのではと思っています。